2017年7月16日日曜日

日本の企業に求められるのは法螺をふけるリーダー

日本の企業に求められるのは法螺をふけるリーダー

日本人のビジネスマンが“こぶり”になっているという声を多く聞く。過去、電機産業などは長い間、リストラを続けてきた。精密産業では現在、リストラのまっただかかの会社もある。こうした環境において、日本企業のリーダーは着実にリストラをやり切るタイプの人材が増えた。そのため、日本企業の多くの組織で、大きな構想をいだく力がなくなっている。事業は何らかのビジョンを実現するために行うことで、組織にとてつもない力をもたらしてくれる。過去の日本企業はそうして奇跡をおこしてきた。TBSに見るLEADERSのモデルのトヨタ自動車、みかん箱に乗り世界一を目指すことを説いた本田宗一郎率いた本田技研、数々のイノベーションを起こしたソニーも皆そうだ。
 日本人はオリジナリティがないから、日本人はイノベーションが得意ではないという人もいる。しかしながら、わたしはそうは思わない。ただ、今の日本に必要なのは、組織全体に自信を取り戻させる法螺がふけ、組織をひっぱっていけるリーダーだ。
 わたしが尊敬する富士フイルムホールディングスの戸田副社長は数々のイノベーションを起こした。彼は公言するのが「法螺は吹くが、うそはつかない」だ。リーダーの構想力、法螺をふく力が組織全体を引っ張る。しかしながら、日本企業のリーダーはいつしか、法螺の吹き方を忘れてしまった。
 こうした事情の背景は、バブル崩壊、リーマンショック後の不況、コンプライアンス、ガバナンス、リスク管理などの企業経営における統制の強化が背景にある。新聞報道される決算上の不祥事などはコンプライアンス、そして企業統治といったガバナンスの問題を本質から問い直している。さらに、情報漏洩など企業は過去ないほど高いリスクに常に直面しなければならないからだ。
 こうして縮みきった組織を今一度将来に向けたビジョンに邁進する組織にするには、日本企業のリーダーたちがもっと法螺を吹くべきだ。しかしながら、長らく縮むことに慣れてしまった次世代のリーダーである中間管理職は、体の伸ばし方が分からない。それならば、法螺の吹き方から教えていかなければ変わらないだろう。おそらく自然自発的にいまの中間管理職が法螺をつくことがうまくなるとは思えない。それならば、たとえば中堅管理職、若手人材に将来ビジョンのクロスファンクションチームでの検討を行わることも一つの方法だ。また、3年の中期経営計画ではなく、10年単位の長期ビジョンを中堅や若手を入れて構築することも大事だ。3年周期の中期経営計画は、今の延長線上に描くことになることが多く、しかも毎年のローリングで結果、単年度計画と変わらない。日本企業の現在のリーダー、経営者は自ら大きな構想を抱くことを唱え、次世代のリーダーに法螺の吹き方を教えなければならないだろう。



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