トヨタ自動車のリコール問題について、ラフード運輸長官が白宣告をしましたが、今更というより、何だったのかな。。という感じもします。結局、GMが黒字になったタイミングで、トヨタ自動車の汚名が返上される形になったので、何とも分かりやすい政治によるトヨタ叩きでした。
リコールが発生した時期は丁度中間選挙(2010年11月)への対応と時期が重なったことから、ミシガン州中心に民衆の票を取る為にも、丁度良い標的になってしまいました。
晴れて電子制御に問題がないことは証明されたものの、こういった政治リスクはどうしたら回避できるのか、よく考えないといけないなと思いました。
一言でいったら、如何に現地化するかなのでしょうね。
トヨタには以前ジムプレスという米国トヨタ社長まで務めた名物経営者がいました。
私は在米が長かったですが彼は37年間米国トヨタに努め、トップまで上り詰めた人です。
彼は米国運輸省にも強い繋がりを持ち、政治にも顔が利くことで有名な人だったのです。
その彼が政治の世界から聞こえてくる声を察知し、米国社会でのトヨタに対する評判が悪くなっていることを察知し、リコール発動についての権限を現地に委譲するように日本本社に働きかけたとのことでした。(マスコミでも報道されていますが)
ところが、残念なことに、トヨタはその助言を受け入れず、ジムプレス氏は2007年、クライスラーに去ってしまいました。もし、この時、ジムプレス氏の助言を聞き入れていたら、こんなことにならなかったのでしょう。
初動(問題の自己が起きてからリコール発動までの時間の感覚があいていること)の遅さ、政治の世界で高まっているリスクに対する察知の遅さなど、ジムプレスがいたら、こうはなっていなかったと思います。
新興国事業など盛り上がる昨今、政治リスクにどれだけの対応ができているのかをつくづくと感じ、政治リスク対応の重要性を感じるばかりです。
おそらく、日本人がどんなに頑張ってもだめで、現地人で優秀なマネジメントを如何に責任があるポジションにつけていくかが重要な視点だと思います。 現地での政治リスク対応を日本人が行うのは無理ですから。
中国、ロシアなどの政治リスクは米国の比ではなく、首相の暴挙発言を聞くに、政治リスクへの認識の甘さを感じるばかりです。元々、日本人は交渉事が下手で、白黒はっきりつけなければいけない場合と、交渉をスムーズにするため、こちらの立場を分かってもらう為に伝えるべきことが使い分けられない感じがします。
経営の現地化による、政治リスク対応が急がれるばかりです。
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