2022年3月7日月曜日

読書)0から1の発想

 大前研一の本はおおかた、読むようにしている。この本もタイトルに惹かれて手にとる。大変面白かった。0から1への発想、これは日本人に一番足りないものだ。アービトラージ、で事業をする。情報ギャップでサヤを取ることだ。ファーストリテーリング、GAPもアービトラージだ。日本でデザインし、中国で作り、利益を得る、英会話学校もそうだ、NOVAも一時は大変な成長をしたが、フィリピン人を使い、インターネットで英会話学校をやる、通常のNOVAなどの料金より圧倒的に安い。こうしたサヤ取引は多くの利益を生む。どこにこのようなGAPがあるかを常に鋭く見ることが大事だ。

また、戦略的自由度も大事だ。STRATEGIC DEGREE OF FREEDOM

で考える。シャープはなぜ傾いたのか、ユーザー側にたった発想が大事なのである。シャープは液晶のリーディングカンパニーとして、その規模の拡大にあけくれ、消費者、市場の視点を忘れてしまった。戦略を立案すべき方向の数、ユーザーを満足すべき方策をなるべく多くだし、その多くを考察するなかで、何が一番ユーザーを満足させることができるのかを考えることである。ユーザーに何を提供したいかではなく、何を望んでいる課で考える。発想の最初にユーザーが何を求めているかを考える。目的関数を定めるのである。軸の設定が大事である。技術的に可能なことはすべてあげるなかで、絞り込でいく。日本の掃除機メーカーは様々な機能改良をおこなったが、楽に掃除をしたいというニーズを見出すことができなかった。その結果、ロボット掃除機では完全に後塵を拝している。戦略的自由度においては目的と手段を混在させてはいけない。どのような改良をするかは手段だ。そうではなく、顧客は何を求めているかを問い続けなければ医けない。それにより、開発のコンセプトを明確にしていくことが大事だ。

意外な組み合わせも、イノベーションをおこす。ニューコンビネーション、シュンペーターが唱えたもので、新しいものは古いものの結合である。水陸両用バス、ウェキペディアなどもそう。ソニーのフェリカはもったいなかった。スイカとエディをコンビネーションをする思想があればフェリカは標準化されて、FINTECHの標準を取れただろう。エディは部品事業としてしまい、最後は楽天に売却されてしまった。JR東日本も管内のみの利用であったため、広がらなかった。個別のミクロ的価値提供ではなく、ユーザーの視点で幅広い結合により新たなる価値を提供することが大事だ。1枚のカードでクレジットカード、ポストカード、などすべての機能が結合されると便利だ。だがそれは実現されていない。携帯は様々なものを取りこんだニューコンビネーションだ。

固定費の発想が大事。黒川温泉には人が集まる。阿蘇山の北にある黒川温泉。固定費に対する貢献を最大化するのだ。温泉街全体を一つの街、温泉街全体で景観統一、入党手形をつくり、全湯を統一したいという気持ちをわきたてた。そして全湯制覇できれば湯めぐり達人称号を与える。ホテルのなかですべてを満たすのでなく、出歩かせる。手形は6か月有効とする。

横展開の発想も大事である。トヨタの看板方式は大野耐一がスーパーマーケットから発想、それをみてZARAの経営が生まれたという。2週間でスペインのデザイナーがデザインした流行の最先端のものが東京の店頭に届く、そのため、流行のものをスピードで売りきってしまう、在庫の損失がない経営である。また、時間差という考え方も大事。

香港空港の開発にはNPVによる債権化の考え方がもたらされた。それにより、空港で実現するテナント料、ホテル、発着料金、飛行機メンテナンス料金などの将来見込まれる収益を債権化して売却することで資金繰りをしたのである。また、どんぶりとセグメントを交互に考えることが必要といっている。たとえばシャンプー市場があまりにも細分化されていたら、シャンプーとリンスを一緒にして販売することで、どんぶり勘定の考え方でおおぐくりにして市場をとる、もしくは金融であれば日本の金融はセグメント化がまったくされていないので、個人の信用などに応じて貸し倒れリスクを考慮、信用度合いが高いひとには低金利、優遇などのセグメント化した考え方をいれていくことで、市場を開くことができる。


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