2022年2月15日火曜日

読書)ジョブ型人事で人を育てる

 ジョブ型人事はいまの日本企業におきている大きなムーブメントである。多くの企業がジョブ型人事を検討している。しかしながら、その多くはうまくいっていない。何故だろうか。

ジョブ型はジョブディスクリプションを明確にして、椅子に対して給与テーブルを充てる考え方。現在の日本企業が採っている職能型人事は、人を中心に考える。ひとは経歴が長くなれば、それだけ経験とともに技能が向上する、つまり基本、年功序列、という考え方。しかしながら、ICT機器が発達し、様々な情報にアクセスが簡単になり、経験の長さがスキルの高さに比例する時代ではなくなっている。そのため、経験の長さではなく、その仕事の重さを評価し、それに対して給与を払うのは当然の流れ。ただ、日本ではその仕事の重さをはかることが難しい。なぜならジョブマーケットがないからである。日本では終身雇用が当たり前だったので、ジョブの市場がなかった。新卒を一括採用する考え方はもう需要にあわなくなっている。

いま求められている仕事はスペシャリスト、データサイエンティストなど明確なスキルがある人材だ。いまの日本企業にこうした人材を育成する仕組みもなく、採用できるし仕組みもない。こうしたスペシャリストは流動性があり、市場価格がある。そのため、こうしたスペシャリストのためにジョブ型の要素をいれていこうとしている。

しかし、このような仕事はごくごく一部、特に事務職系の仕事には明確に定義できないものもおおい。臨機応変といえば聞こえはいいが、雑用ともいえる仕事を多くしているケースもある。こうしたひとたちは市場もなく、その会社に残るしかない。

ジョブ型をとるということは、従業員に会社の都合で異動をさせることはできない。安易にジョブ型というのは簡単だが、会社は職能型のおかげでどれだけ好都合な人事をできているか今一度よく考えるべきだ。また、ジョブ型に変えることは、従業員に対しうるリスキルのファンド、機会をしっかりと設けていくことが前提となる。

会社都合の異動をし続けるなら、会社が欲しい人財像を明確にし、リスキルの機会を与え、やる気があるひとには教育投資すべきだ。ただ、教育のやり方も、これまでのようにまんべんなく雨を降らせる教育からメリハリのついた教育に変わっていくべき、と、そのようなことを考えながら当書を読んだ


#ジョブ型人事で人を育てる

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