2022年2月24日木曜日

読書)リイノベーション視点転換の経営 学習院大学 米山茂美教授

 学習院大学の米山教授は、イノベーションの権威である。米山先生とは過去より、イノベーションについて時折、意見交換させていただいているが、当初は大変素晴らしい本だと思いました。イノベーションは、何か全く新しい発明によって齎されるものではなく、過去からあるものを組み替えることにより、生まれていることが多い。過去からの資産、既存の知識、製品など眠らる資源を読み替えることにより生まれていることが多いのである。つまり、知の創造によるイノベーションより、過去の知を活用することにより、イノベーションを行うことが多い。こうした知識の組み替えを、リイノベーションとこの書籍では呼んでいるのである。イノベーションは技術革新ではない。シュンペーターは、イノベーションは、①新しい財、②新しい生産方法、③新しい販売先の開拓、④新しい仕入れ先獲得、⑤新しい組織の実現にあるという。つまりイノベーションを技術革新だけに求めることはなく、既存の製品、自社の眠れる資に焦点を当て、それらを組み替えたり、時代の変化に応じて解釈を変えることでイノベーションとは生まれるのである。しかしながら、ここで問題がある。知は埋没してしまう。日本企業にも多くの埋没されている未利用特許がある。多くの特許は活用されていない。このような未利用な知識が、機会ロスとして累積しているのである。例えば、大塚製薬のポカリスウェットや任天堂のゲーム、WIIなどはそれぞれの製品が持っていた従来の価値体型を組み替えることによりイノベーションを起こしている。

そこで、リイノベションには二つのタイプがあると言っている。価値の発見型と価値の再生型である。価値発見型は、企業や組織で新しく生み出されたものも役に立たないと見過ごされてきたもの、知識、資源などからのイノベーション、である。これに対して価値再生型は、実際に価値のある知識や資源として活用され、一定期間価値を提供してきたが、その後の時代の変化で陳腐化、老朽化されてため、使われなくなったり、当初の価値が失われたりした知識や資源からイノベーションを行うものである。そしてこれらを引き起こすには、オープンイノベーションを進める必要がある。そのためには社内やグループ内での視点や文脈の転換ができる多様性が求められる。

さらにユーザーの視点を取り込んでいくことが必要だ。ユーザーは、企業が提供する製品やサービスに手を加えることにより、想定とは異なる形で用いている。これはユーザーイノベーションである。こうしたユーザーの視点を取り込むことが求められる。また、海外の企業が国内に入ってきたり、外国人が参加することにより、内なるグローバル化などもリイノベーションのきっかけになるという。


#リイノベーション視点経営の経営

#米山茂美

0 件のコメント: